
エシカルデザイナー/感性教育ファシリテーター 変化の激しい時代だからこそ、作る人/使う人 そして地球–誰もが幸せになる、調和するデザインは必ず結果につながります。全体の幸せの一致を見つめるデザインを提供しています。
企業のロゴやパッケージデザインを手がけてきたデザイナー

「誰かにメッセージを伝えたいとき、文字だけでなくイラストを添えることで、その場の空気やイメージも表現することができます。誰かとアイデアを共有したいときにも、イラストを加えると視覚から入りやすいのでおすすめです」
そう語るのは、グラフィックデザイナーとして活躍中の由良万紀子さんです。SDGs(Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)の概念のもとで活動している企業のロゴやウェブサイトの制作などに携わっています。
子どもの頃からイラストを描くのが好きだった由良さん。大手自動車メーカーの取扱説明書の編集職に就いたものの、「本格的にデザインを学びたい」という思いが強くなり、日本初のデザイン専門学校である桑沢デザイン研究所でグラフィックデザインを勉強しました。卒業後は家庭用ゲームメーカーの宣伝デザイナーに転向し、ゲーム機のロゴやパッケージなど数多くの作品を手がけてきました。
それらの経験を活かし、現在はフリーランスのデザイナーとして活動しています。
絵が「苦手」な人でも描けるようになる! デザイナーがイラストレッスン

「絵を描くことが苦手な人でも、60分あれば簡単なイラストが描けるようになります!」。由良さんは、そう明言します。
描きたいものをイメージできていれば、誰でも簡単なイラストが描けるようになるのだそう。由良さんのレッスンの手順をみていきましょう。
(1)ヒアリング
「イラストを利用して、具体的に何をしたいのか?」をインタビュー。イラストをどのように仕事や生活のなかで活かしたいのかを探ります。
(2)カウンセリング
「絵を描くことについて、現段階ではどんな印象を持っているのか?」「美術が苦手かどうか?」等を聴いたうえで、イラストを描き始める前に必要な点についてアドバイスします。
(3)実践
最初は、由良さんが描いたイラストの見本をなぞるスタイルから始め、実際にイラストやキャラクターを描いていきます。
(4)振り返り
レッスン終了後、「どんなタッチの絵が描きやすかったか?」「自分は何を表現したいのか?」という受講者自身の気持ちを振り返ります。
60分間のレッスン中は「ほとんど描きっぱなしの状態」なのだそう。由良さんは「受講者が自然に描いたタッチをどれだけ引き出せるか」に重点を置いて指導しています。見本の丸写しではなく、その後も自分自身で描き続けることができるように、その人に合った描き方を伸ばしていきます。
「絵は何度も描くことで上達します。大切なのは『自分が感じたことをビビッドにつかんで表現する』ことです。自分自身が感じていないことは描けません」
由良さんのレッスンでは、付け焼き刃の技術ではなく、自分が表現したい気持ちや強い思いを表現する力を習得することができます。
プレゼン資料やメモにイラストを添えて、仕事をスムーズに

由良さんのもとには、営業マン、コピーライター、読書家など、さまざまな職種の人からレッスンの依頼が舞い込みます。特に、「仕事をスムーズに進めるためにイラストを利用したい」という依頼が多いのだそう。
「ビジネスシーンであれば、プレゼンテーションの資料にイラストを添えると効果的です」
文字だけの文書より、イラスト入りの資料のほうがたくさんの情報を入れることができます。また、「何を伝えたいのかがひと目でわかる」というメリットもあります。
非言語コミュニケーションの重要性を説いた「メラビアンの法則」によると、普段のコミュニケーションは「言語:聴覚:視覚=1:4:5」の割合で成り立っているのだそう。この「5割」を占める視覚部分を上手に利用することで、自分のメッセージを相手に伝えやすくなる、と由良さんは考えています。
「たとえば、同じ『太陽』という言葉でも、人によって受け取るイメージは異なります。晴れた日のギラギラした太陽だったり、夕方の紫がかっている太陽だったり、自分の価値観に沿ったイメージで言葉が解釈されます。しかし、イラストがあれば、その解釈の相違を埋めることができるのです」
由良さんのレッスンを受けた利用者からは、「実際に手を動かしながら教わったので、イラストを仕事で活用するための実践的なヒントを得ることができた」という声が寄せられています。
「伝わる」イラストを描くために

「誰でも」簡単なイラストが描けるようになる、とはいうものの、いわゆる「絵心」がまったくないような人でも、本当に描けるようになるのでしょうか?
「描けます!」由良さんはそう力強く答えます。
イラストの基本は「丸、三角、四角」といったパーツの組み合わせなのだそう。たとえば、鳥の「ハト」を描く場合には、「丸形と三角形と楕円形を組み合わせる」というように、絵を描くのが苦手な人には、絵をパーツに崩すところからアドバイスしていきます。
「パーツを組み合わせるだけで、イラストは簡単に出来上がります。本来はどんな絵も『自分のために』描くものである、という点を理解し、気軽にイラストにチャレンジしてほしいですね」(由良さん)
最後に、「伝わる」イラストを描くためにもっとも大切なことについて、 由良さんはこうアドバイスします。
「自分が強く想っているものであれば、イラストの上手下手にかかわらず、その気持ちは伝わるはずです。手書きのイラストからは、書き手の想いが伝わります。自分が伝えたいメッセージをしっかり持つことが大切です」
イラストの描き方のコツを教わることで、言葉以外の新しい「コミュニケーションツール」を身に付けることができます。プレゼンテーションや人材育成の場面など、「言葉だけでは相手に伝えるのが難しい」ビジネスシーンでも、イラストのスキルを活かすチャンスは多くあるでしょう。
「絵を描くのは苦手だから…」と敬遠してきた人も、由良さんに一度相談してみてはいかがでしょうか。