UXとは何か? UXデザイナーが語る「ユーザーエクスペリエンスの極意」

UXとは何か? UXデザイナーが語る「ユーザーエクスペリエンスの極意」

最近よく目にするようになった「UX(ユーザーエクペリエンス)」という言葉。UXとはいったい何なのか? UIとはどう違うのか? UXが優れたデザインとはどういうものなのか? 外資系IT企業のプロダクトマネージャー兼UXデザイナーとして、多数のUXデザインに携わってきた坂田一倫さんが「UXの極意」を語ります。


坂田 一倫さん

https://www.timeticket.jp/kazumichi.sakata?utm_source=ttl&utm_medium=147&utm_campaign=experiences_3

サンフランシスコに本社を構える外資系企業のプロダクトマネージャー兼UXデザイナーです。これまでに toB/toC、国内/海外、エンタープライズ/スタートアップを問わず 80以上のプロダクトやサービスの改善、新規事業の立ち上げを約10年以上担当してきました。ウェブサービスの UI/UX にお悩みの方のお役に立てれば幸いです!

UXとは? UIとどう違うのか?

「UXとUIの違いは、物事を『点』で捉えるか、『線』で捉えるかです」


そう語るのは、外資系IT企業でプロダクトマネージャー兼UXデザイナーを務める坂田一倫さんです。


「UI(ユーザーインターフェイス)は『点』であり、その点が連続して1つの『線』になり、UX(ユーザーエクスペリエンス)が構築されていくのです」


たとえば、「父の日にプレゼントを贈る」というユーザーの一連の行動から「UXとUIの違い」を説明してみましょう。


(1)父の日にプレゼントを贈りたい【目的】

 ↓

(2)ECサイトを開いて父の日プレゼント特集を選択する【UI(ユーザーとサービスの接点)】

 ↓

(3)プレゼントを選択する【UI(ユーザーとサービスの接点)】

 ↓

(4)購入する【UI(ユーザーとサービスの接点)】

 ↓

(5)発送依頼して父に届く【ゴール】


ユーザーが目的を定めてからゴールに至るまでの(1)から(5)までの一連の行動「UX(ユーザーエクスペリエンス)」といいます。ユーザーエクスペリエンスとは、ユーザーがサービスを通じて得られる「体験」のことです。UXの向上は、ユーザーの満足度を高めることに繋がります


一方、Webサービスを作る側が、いくら「UI(たとえば(2)Webサイトの充実)」に注力したとしても、ユーザーのゴールを見誤って設計してしまうと、例えば、父の日に特化していることが伝わらないなど、早い段階でユーザーの関心が失われてしまい、(3)までたどり着いてもらえません。


「ユーザーが必要としているサービスの価値をいかに明確に届けるか」。その点にUXの戦略があると坂田さんは考えています。

UXの優れたデザインとはどういうものか?

「優れたUX」について、次のケースから考えてみましょう。


Q. 客が「壁に穴を開けるもの」を探しに店にやってきました。店員は「ネジ」の性能の良さについて懸命に説明しますが、客は一向に買うそぶりを見せません。これはなぜでしょうか?


A. なぜならば、客のゴールは「ネジを買うこと」ではなく、「壁に穴を開けること」だからです。つまり、壁に穴を開けられるものであれば、ネジでなくても良く、ドライバー、電動ドリル、のこぎり…などでも構わないのです。


ゴールを達成するための手段を探しに来店した客に対し、この場合の「優れたUX」とは、一方的に「ネジを勧めること」ではなく、「ゴール達成のための選択肢を与えること」なのです。


「優れたUXとは、ユーザーの『ゴールの達成』に向けて、的確にサポートできるサービスである」。坂田さんはそう考えます。

UXを意識したサービスやプロダクトの設計のポイントとは?

「理想のUXとは、ユーザーがストレスを感じることなく、モノを利用できたり、体験できたりする状態です」


坂田さんが開発に携わったJR東日本のアプリ『GO! by Train』の例を挙げてみましょう。


このアプリは必要な機能が厳選され、シンプルなデザインでユーザーが扱いやすい仕様になっています。運行情報をリアルタイムで配信するサービスも行っているのですが、「電車が何分遅れているか」だけでなく、「なぜ遅れているのか」という遅延の原因も表示しています。「この点が重要である」と坂田さんは力を込めます。


「遅延の原因が人身事故の場合には、さほど時間がかからず通常運行に戻るかもしれません。しかし、車両点検の場合には点検作業に時間がかかり、さらに遅延時間が延長されるかもしれないのです。その情報こそが、ユーザーのゴールである「A地点からB地点まで問題なく移動したい」を達成するための判断材料として必要になるのです」


つまり、遅延の原因を表示することで、「目的地にたどり着く」というゴールの達成に向けて、「次の電車をホームで待つ」のか、「別のルートを使う」のかをユーザーがスムーズに判断できるようになるのです。


このような優れたUXを設計するために重要なポイントについて、坂田さんはこうアドバイスします。


「『こうすればユーザーは喜ぶだろう』という、自分の思い込みでUXを考えるのは非常に危険です。どうすればユーザーのニーズを満たせるのか? 徹底的にユーザーにインタビューすることに尽きます。


また、ユーザーのニーズをつかむために、自分自身がさまざまなユーザー体験を積み、共感力を育むことも重要です」

坂田さんとUXの関わり

いまや「UXのスペシャリスト」として活躍中の坂田さんですが、大学ではインタラクションデザインを研究し、卒業後はユーザーとの接点を担う「UI」を作るデザイナーとして楽天でキャリアをスタートさせました。


キャリアを積んでいくうちに、「ミクロな観点ではなくマクロな観点でモノづくりがしたい」という気持ちが芽生え、関心のレイヤーがサービス全体(UX)に移ってきました。


その後は、BtoB/BtoC、国内/海外、エンタープライズ/スタートアップを問わず、80以上のプロダクトやサービスの改善や、新規事業の立ち上げに10年以上携わり、現在は外資系IT企業のプロダクトマネージャー兼UXデザイナーとして、クライアントのビジネスやプロダクトゴールの達成を支援しています。


「通常のモノ作りでは『考える→作る→評価する』という手順を踏みますが、UXを設計する場合には、『何を成し遂げたいのか?』『そのためには何が必要か?』から逆算して考えてみることをお勧めします」


「UXについて知りたい」と思っている人は、UXに関する知見が深い坂田さんに相談してみてもいいかもしれません。UXを考えるときに何から始めればよいのか、そのヒントが見つかるでしょう。

坂田一倫さんにUXの相談をするならこちら

坂田一倫さんのプロフィールをチェック

関連するキーワード


UX

最新の投稿


ボクササイズを指導する現役ボクサーや航空業界の就活相談に応える空港スタッフ【タイムチケット新着紹介】

ボクササイズを指導する現役ボクサーや航空業界の就活相談に応える空港スタッフ【タイムチケット新着紹介】

副業やギグワークのプラットフォームとして多彩なスキルを持つ専門家が集う「タイムチケット」。ボクササイズを指導する現役ボクサーや、航空業界の就活の相談に応える現役スタッフなど、幅広い知識や経験の持ち主が集結しています。2020年7月28日以降に公開されたチケットの中から、得意なことを生かしたユニークなサービスを提供している人たちを紹介します。


パソコン初心者にありがちな不安と悩み、PCインストラクターが解決します

パソコン初心者にありがちな不安と悩み、PCインストラクターが解決します

パソコンに不慣れな初心者は、電源を入れるだけでもおっかなびっくり。1つ1つの操作が緊張の連続です。でも、パソコンが使えれば、仕事や趣味の幅は広がります。パソコン教室で10年間インストラクターを務め、小学生から90代まで幅広い世代にパソコンの使い方を教えてきたNagomiさん。これまで数々の「初心者にありがちな不安や悩み」を解消してきました。パソコン初心者が覚えておきたい基本操作やパソコンの選び方について聞きました。


データ分析の基本とは? データサイエンティストが手順をわかりやすく解説

データ分析の基本とは? データサイエンティストが手順をわかりやすく解説

ITの進化によって膨大なデータが手に入る時代。「ビッグデータの活用」や「データドリブン経営」を取り入れようという企業は少なくありません。データ分析とはどのようなことをするのか。データ分析に必要なスキルをどうやって身につけたらよいのか。現在、フリーランスのデータサイエンティストとして活動するRさんが、初心者にもわかりやすく解説します。


小学生の子どもを持つ親が「子どもの夢」のためにできることとは?

小学生の子どもを持つ親が「子どもの夢」のためにできることとは?

自分の子どもと、将来の夢について話し合ったことはありますか?スポーツ選手や医師、保育士といった職業を挙げる子もいれば、将来の夢はないという子もいるでしょう。親として、将来の夢を持つ子どものために何をしてあげればいいのか。「将来の夢がない」という子どもには、どう向き合えばいいのか。小学生を対象に「将来の夢」を見つけるサポートをしているキャリアコンサルタント、菊池友美さんに話を聞きました。


起業するなら読んでみよう!連続起業家が薦める必読書3冊

起業するなら読んでみよう!連続起業家が薦める必読書3冊

困難を乗り越えて新しい事業を始め、会社を成長させていく起業家は、起業をするときにどんな書籍を手にしたのでしょうか。タイムチケットで起業や経営の相談に乗る連続起業家の池森裕毅さんに、「起業するなら読んでおきたい」おすすめの本をセレクトしてもらいました。起業のために必要なマインドセットや知識が身に付く3冊を紹介します。