社会保険労務士とはどんな仕事?資格の難易度は?現役の社労士が解説します

社会保険労務士とはどんな仕事?資格の難易度は?現役の社労士が解説します

職場の人材に関する専門家「社会保険労務士(社労士)」。社会保険や労務に関わる書類作成や、助成金の申請代行などを行う国家資格です。社会保険労務士は実際どんな仕事をするのでしょうか。社会保険労務士試験は、どのような試験なのでしょうか。社会保険労務士として独立開業した泉隆一さんに解説してもらいました。


あすくプロジェクツ泉隆一 さん

https://www.timeticket.jp/hosts/dbzn8asr16mctek?utm_source=ttl&utm_medium=169&utm_campaign=experiences_44

ミッションは「対話から、理想の明日をクリエイト」。コーチングセッション経験人数は172人(通算195回)。福岡在住のIT複業推進家(社会保険労務士/ビジネスコーチ/研修講師)。GCS認定コーチ(銀座コーチングスクール)資格を活用し、オンラインコーチングを提供中。

社会保険労務士とは

社会保険労務士は、社会保険労務士法に基づく国家資格です。

健康保険や雇用保険、介護保険、労災保険など、多くの人の生活に関わる社会保険制度や労働関連法の知識を豊富に備える、働く人と企業を支える「人事労務管理の専門家」です。


「社会保険労務士は、士業のなかで唯一『働く人』に寄り添える仕事だと感じています」

社会保険労務士の泉隆一さんはそう語ります。

社会保険労務士の仕事とは

労務や社会保険のスペシャリストである社会保険労務士は、社労士しか行えない「独占業務」のほか、企業と働く人に関わる幅広い仕事を任っています。


1.社会保険労務士の独占業務・労務や社会保険の申請代行(1号業務)

社会保険労務士が行う業務のひとつは、「労働や社会保険に関連する法律に基づく書類の作成や手続きの代行」です。たとえば、会社内で新たに社員を雇入れたときに発生する社会保険の被保険者資格の取得や雇用保険の加入手続きなどを、事業主に代わって行うことができます。

こうした手続きは、社会保険労務士でなくても社内の労務担当などが行うことも可能です。しかし、社会保険関連法などは法改正が多いことから、社会保険労務士が代行することで正確かつ効率よく手続きをすすめることができます。


2.社会保険労務士の独占業務・法定帳簿の作成(2号業務)

労働基準法上、企業に対して整備や管理、保管が義務付けられている法定帳簿(労働者名簿、賃金台帳、出勤簿)の作成も社会保険労務士が行う「独占業務」です。

1号業務と同様に、社内の担当者が作成することに問題はありません。ただし、労働基準監督署が臨検したときに必ず確認される帳簿であることから、法改正などの専門知識を備える社会保険労務士が支援することで法令を確実に遵守できます。


3.労務コンサルタントや労働基準監督署の相談員

独占業務以外にも、社会保険労務士が活躍している現場があります。たとえば、労働局や労働基準監督署の相談員として働くことも、社会保険労務士の仕事のひとつです。


そのほか、会社内の人事労務に関する業務全般や就業規則の作成、各種助成金の申請代行などにも知識を生かすことができます。

また、中小企業の事業主と契約を結び、社内の労務について広く相談に応じる労務コンサルタントとしても活躍しています。

社会保険労務士の実務は多岐に渡る

実際の社会保険労務士は、どんな働き方をしているのでしょうか。泉さんは次のように話します。


「仕事の仕方はそれぞれです。社会保険労務士の独占業務である社会保険や労務の申請代行だけを専門に受け付けている社労士もいれば、独占業務は全く行わず、労務コンサルタントとして開業している人もいます」


また、社会保険労務士が必要とされる業務を幅広く行う、オールラウンダーな社会保険労務士もいるといいます。

資格や知識を生かし、どんな仕事でもできる「オールラウンダー」。聞こえがいいですが、「どんなことでもできる」よりも「得意な分野を示せる方がいい」と泉さんはいいます。


「社会保険労務士としてできる仕事は幅広くありますが、そのなかで自分ならではの『専門性』を明確にできるといいでしょう」

社会保険労務士の仕事の将来性

独占業務を持つ社会保険労務士は、手続きの代行だけでも仕事を続けていけるように見えます。しかし、社会保険労務士の仕事は独占業務に偏るべきではないと泉さんは続けます。


「AI化が進む現代、社会保険労務士の独占業務である書類作成の代行や帳簿の作成などの業務は先細りになるとも言われています。しかし、社会保険労務士ができるのはそれだけではありません。


社会保険労務士は働く人の相談に応じることができるし、人を雇用する側の相談にも寄り添えます。独占業務に限らず、社会保険労務士としてできることは幅広くあります」


泉さんは、企業の労務コンサルタントとして経営者の相談に応じるほか、企業の労務研修やチームビルディングなどの講師をしています。研修講師をすることに社会保険労務士という資格が必ずしも必要なわけではありませんが、「研修をオファーする人は、講師が『社会保険労務士』ということで安心感を得ている」と泉さんは感じています。

社会保険労務士はどんな人に向いている仕事?

社会保険労務士の仕事は、どんな人に向いているのでしょうか。


「必ずしも、人事労務の実務経験は必要ではありません。私自身は、人事労務として勤めた経験はありませんでした。しかし、転職をしたときに労務の面で悔しい思いをした経験があり、その当時、自分自身がもっと労働法に関する知識を持っていたならば、という思いがありました」。

そうした経験から泉さんは、社会保険労務士に向いている人について、次のように話します。


働く人の力になりたい人です。社会保険労務士は、他の誰よりも働く人に寄り添うことができる職業です」

 

【関連記事】自分に合った仕事は何か?相談員があなたと一緒に「金の糸」を探します!

https://life.timeticket.jp/articles/98

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社会保険労務士の資格を取るには?

社会保険労務士の資格試験はどのようなもの?

社会保険労務士になるには、社会保険労務士試験に合格する必要があります。試験は毎年1回実施されています。


試験は択一式と選択式の二種類。受験科目が多く、しかも科目合格制度がないため、一つの科目でも合格基準点に達しなければ不合格となり、すべての科目を学び直さなければなりません。

試験で出題されるのは次の範囲です。


労働関係科目

「労働基準法及び労働安全衛生法」

「労働者災害補償保険法」

「雇用保険法」

「労務管理その他の労働に関する一般常識」


社会保険関係科目

「社会保険に関する一般常識」

「健康保険法」

「厚生年金保険法」

「国民年金法」

社会保険労務士資格試験の難易度と合格率

社会保険労務士試験の合格ラインは毎年変わります。

目安は、択一式問題・選択式問題ともにそれぞれの総得点の7割以上を取ること。前述のとおり科目合格制度がなく、出題される範囲も多岐に渡ることから合格率は6.6%(2019年)と、かなり低い数字で、難関の資格と言えるでしょう。

社会保険労務士試験の勉強法

社会保険労務士試験の勉強をするには、資格学校への通学通信講座など、複数の方法があります。


独学で社会保険労務士の試験の勉強をしようとした場合、800~1000時間の勉強が必要と言われています。資格学校に通学して学習した泉さんは「勉強は最短で6ヶ月ですが、実際には早い人でも1年かかる」と指摘します。


「現在社会保険労務士として活動している人も、試験合格まで3回から5回くらいチャレンジしている人が多いと聞きます」


試験合格までに2年を費やした泉さんは「資格勉強はできるだけ短期間がいい」と話します。社会保険労務士試験に出題される法令は、法改正が多いためです。


「社会保険労務士試験は年に1回です。科目合格がないので、勉強期間が長くなると、法改正があるたびに勉強をし直し、知識を蓄えなければなりません」

おすすめの勉強法「スマートフォンを活用」

長い年月をかけて挑む社会保険労務士の試験。どんな勉強法が効果的なのでしょうか。泉さんがすすめるのは、「学習アプリ」と「SNS」です。


・学習アプリ「ユーキャン資格本アプリ」

社会保険労務士の資格試験によく出るポイントを集約した一問一答方式の問題集です。

「電車を待っている時間などに、アプリを使ってスキマ時間を活用して学習しました。苦手な範囲を見直すほか、それぞれの科目に1日1回でも接するようにしていました」


・検索するのはSNSが最適「Twitter」

「分からない言葉や理解できない問題に対峙したときに活用したのはTwitterの検索機能です。検索エンジンで検索するように、Twitterの検索機能を使って言葉を調べると、答えを得られることが多くありました。

『#(ハッシュタグ)社労士試験』で検索すれば、同じように社会保険労務士の勉強をしている人たちを見つけることもできます」

【関連記事】勉強が楽しくなる!社会人のあなたに合った「勉強法」教えます!

https://life.timeticket.jp/articles/38

社会人になってから始める資格試験や英語の勉強は、時間や孤独との戦いです。仕事と両立しながらいかに効率よく勉強するか、どうやってモチベーションをあげるか。学生時代なら先生に聞けたことも、大人になるとなかなか相談する場がありません。教育心理学・言語学を研究する大学講師のMika Igarashiさんは、そんな人たちに向けて、効果的な勉強法ややる気を引き出す方法をレクチャーしています。

40代後半に社会保険労務士として独立開業

泉さんが社会保険労務士になったのは40代後半になってから。一介の会社員から、社会保険労務士へと転身を遂げました。そのきっかけは、ある運命的な出会いだったといいます。 


「80歳を超えてもなお現役で活動する社会保険労務士との出会いが、社会保険労務士を志すきっかけになりました。

 その人に自分自身を重ねました。80歳でも現役で活躍できるということは、今後30年以上仕事を続けていけるということ。社会保険労務士という資格に希望を感じました」


 社会保険労務士試験に見事合格した泉さんは、会社員を辞めて社会保険労務士として開業。会社員時代の顧客応対で培った「対人スキル」を生かして活動するために、コーチングの技術も習得しました。そのコミュニケーションスキルは、硬い印象を持たれがちな社会保険労務士という仕事に安心感を与えることにつながり、労務コンサルタントや企業研修の講師をする際に活きています。


「社会保険労務士は、100人いれば100通りの仕事の仕方があります。自分の得意な分野を見つけ、それを活かしていくことが重要です。

事務手続きがどれだけAI化しても、『人に相談したい』という動きは変わらないと考えています。働く人に一番寄り添える社会保険労務士の役割は、決してなくなりません」

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