
フード&インテリアスタイリストをフリーランスで活動しています。3年間のスタイリストアシスタント時代を経験し独立。今は、雑誌や書籍本、広告やカタログ等を手がけています。インテリアの学校に通い基本を学び、個人邸から店舗やサロンまで幅広く提案。みなさんの“暮らし”がより良いものになるようご提案していきます。
「断捨離」とは?

――物を捨てるというイメージの断捨離ですが、断捨離とは何でしょうか。
断捨離は、持っているものを整理して不要な物を断つ方法のひとつです。
今の生活スペースを見直してよりよい生活にするための一歩として、断捨離をおすすめしています。私はインテリアコーディネーターとしてインテリアの相談に応じていますが、インテリアの配置を考える前段階として断捨離をサポートしています。
――ただの片付けや整理収納との違いはどんなところでしょうか。
片付けが苦手という人は、それまでの自分自身を変えないと片付けられないという場合が多くあります。断捨離は、そうした人にとって「片付けられる自分になるための最初のステップ」ともいえるかもしれません。
断捨離の上手な始め方
――断捨離はどのように始めればよいのでしょうか。
スムーズに断捨離をするために、次の2つのポイントをおさえましょう。
1.断捨離をする目的を明確にする
断捨離を始める上でまず重要なのは、目的を明確にすることです。
「なぜ断捨離をしたいのか」「断捨離をしたらどんな生活を送りたいのか」をイメージして、断捨離をする目的を明確にします。しかも、考えるだけではなく紙にペンで書きましょう。意識をよりしっかりと持てると思います。
2.「捨てる物」「捨てない物」のほかに「迷っている物」のスペースを作る
断捨離は基本的に物を「捨てるか捨てないか」の分別をすることになりますが、どちらにも分別できないものを置くための「迷っているもの」のスペースを作りましょう。断捨離を進めていき、最終的に「迷っているもの」を手放すかどうかを考えることになります。
また、捨てるか捨てないかで迷ったときは、リサイクルショップやネットで売るのもいいでしょう。物の未来を考えて、必要としている人に使ってもらうこともおすすめです。
アイテム別の断捨離のコツ

■衣類を断捨離するコツ「ワンシーズン着ない服は断ち切る」
――洋服がなかなか捨てられないという人は多いと思います。服を断捨離するコツはありますか?
洋服は、ワンシーズン着なかったら次のシーズンでは破棄しましょう。まったく手に取らなかった服は自分にとって必要のないものだと、自分の中で断ち切ることがポイントです。
また、新しい服を買ったら古い服を捨てるのもおすすめです。1つ買ったら1つ手放すようにして、収納スペースにはいつも同じ量しか置かないという意識を持ちます。
■本や書類を断捨離するコツ「無理に手放さなくてOK。居場所を作る」
――本や書類の断捨離のコツはありますか?
本を捨てられずに持っている人は、本が好きで「本を持っていたい」という人が多い印象です。ですので、無理に捨てようとせずに「本の居場所」を作ってあげましょう。
また、洋服と同様に本の居場所に入れられる容量を決めておき、オーバーするようなら整理して処分するようにするなど、ルールを決めることもポイントです。書類も同様に、いつも置いておく場所と容量を決めておけば、散らかることはありません。
■食器類を断捨離するコツ「暮らしに合っているのかをチェック」
――キッチンの中で、お皿などの食器類は増えてしまいやすく、なかなか捨てられないものです。どのように断捨離するとよいでしょうか。
まずは、家にある食器が自分の暮らしに合っているのかどうか確認してみましょう。たとえば「一人暮らしだけれど同じ皿は3枚も必要だろうか」「食器を置くスペースに合っているのだろうか」といった確認をして、優先順位をつけていくといいでしょう。
■思い入れのある物の断捨離のコツ「感謝の気持ちで送り出して」
――断捨離をするときに、思い入れのあるものはなかなか捨てられないのではないかと思います。たとえば、子どもが制作した図工作品のようなものはどうでしょうか。
子どもの作品は形もさまざまで、どんどん増えてしまいますよね。あちらこちらに置かずに居場所を決め、容量を超えたときに古いものから処分していきましょう。思い入れの強いものには、「ありがとう」という気持ちを持って送り出すことがポイントです。
また、飾ったり保管する期間を決めるのもいいでしょう。子どもの作品は次々と増えていくものですし、シーズンごとに作ることもあると思います。「そのシーズンが終わるまで」「学年が変わるまで」などの期限を設けることをおすすめします。
断捨離がもたらす効果でより良い生活空間に

――沙織さんはフードスタイリストとして料理の盛り付けやお皿の選定などに携わっていたとお聞きしましたが、インテリアや断捨離に関わることになったのはなぜですか?
フードスタイリストとして食事の場をコーディネートしていて、「食べ物の見せ方が変わるだけでも生活が変わっていく」ということを感じていました。そこから、生活につながるインテリアにも興味を持ち、インテリアコーディネーターの勉強をしました。断捨離のサポートは、インテリアをコーディネートする前段階として実施しています。
――居心地のいい生活空間を作る上で、断捨離は重要なステップになりそうですね。
断捨離をすることで空間が広がり、それによって心の余裕が生まれます。ほかにも次のような効果があります。
・暮らしのストレスが軽減される
断捨離をして部屋に物がなくなると、無駄な動きが少なくなります。無駄な動きが少なくなることで、暮らしのストレスが軽減されます。
・自信が付く
断捨離ができたことで、「片付けられなかった自分が変わった」「整理整頓ができた」という自信にもつながります。
・意思決定の訓練になる
物が多いと選択肢が多くなります。たとえば着る服を選ぶとき。たくさんの服があれば、それだけ選択肢がありますよね。物を減らすことで選択肢が減り、選択をしやすくなるとともに、意思決定の訓練につながります。
■重要なポイントは「目的を明確に持つ」
――断捨離をする上で重要なことはどんなことでしょうか。
断捨離をする上で、まず意識してほしいこととして「なぜ断捨離をするのか」「断捨離をしてどうなりたいのか」という目的を明確にする必要があることを伝えましたが、そのときに注意してほしいことがあります。
それは、「目標を定める」のではなく「目的を明確に持つ」ということです。それを大前提として取り組むことをおすすめします。
断捨離は、物への思い入れの強い人には大変な作業です。しかし、いらない物を排除することによって本当に必要な物や大事な物が見えてきて、より大切に扱うことができるようになります。
本当に大切な物のために断捨離をする、という意識を強く持ってもらい、断捨離を成功させてほしいと思います。